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# 水を介した循環
雨は一体どこからやってくるのか、不思議に思ったことはないかな? 実は、水という液体は、いろいろなところをぐるぐる巡って循環しているんだよ。どこを巡るのかというと、大きく分ければ海→雲→雨や、雪→川といった感じ。この水が巡ることを、“水循環”と呼ぶよ。
水は人間にとって本当に大切な物質だよね。自分の生活でどれだけ水を使っているか、思い返してみたら、その大切さがわかるはず。地球の水循環の中で人間が安全に使える水はたった0.01%、それを世界中の生き物が分け合っているんだ。水循環においても、海は大きな役割を果たしているんだね。あ〜それにしても僕ってなんだかたくましいなあ、世界中の生き物を支える水を生み出すことにも協力しているだなんて!
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物質循環と水循環
海の物質循環ってなんのことだろう? まず、水は冷やすと収縮して密度が高まるんだ。そして塩分なんだけど、濃くてしょっぱいほど重くなるんだって。海水は塩分が含まれているから、冷やせば普通の水より重くなるよね、冬なんかに冷えて重くなった水が沈んで、また上に上がってくることを物質循環というよ。そうやって海水はグルグル循環して、2,000年をかけて世界を一巡するんだ。この海水に含まれている栄養が循環することでプランクトンに栄養が届き、魚が育つんだよ。
水循環についても考えてみよう。水は形を変え、ひっきりなしに色んな場所へ移動しているんだ。どういうことかというと、
①海から蒸発した水が雲になる。
②風が雲を森の上や陸に運ぶ。
③冷たい空気で冷やされた雲から雨や雪が降る。
④森の土に染み込んだ雨が川に流れる。
⑤川から海へと水が流れる。
ということが繰り返し行われているんだ。これは、突き詰めれば太陽熱によって引き起こされているよ。太陽の熱で海水が熱せられて、蒸気になることを「気化」というよ。暑いと水分は蒸発するでしょ? だから、特に熱帯地方の蒸発量が一番多いんだ。そして雲を動かしている風も太陽の熱が関係して吹いているよ。でも、雨や雪の約78%は海に落ちちゃうんだ。海と陸の割合は7:3だから、7割くらいでほとんど同じだね。
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森海
森は海と何で繋がってるかな? そう、川さ。実はこの川によって森の栄養が海に流れて海が豊かになっているらしい。プランクトンや海藻の赤ちゃんは、海水のリン酸や鉄分をそのまま取り込むことはできないが、森から流れ出たフルボ酸鉄を摂取し、大きくなるとようやくリン酸や鉄分を取り込めるようになるんだ。つまり、川は彼らのベビーフードを運んでいるんだね。ちなみにフルボ酸鉄は、落ち葉などを微生物が分解して腐葉土層ができる過程で生まれるよ。
魚や貝などが育つためには、プランクトンや海藻が必要なんだ。川を通じて森の栄養を運ぶことは、海の豊かさにも繋がっているんだね。だから、川に工業廃水なんか毒を流すと、海の生物がそれを吸収し、もしかしたら君の口に入ってしまうかもしれないね。
例えば、1950年代に大問題になったのが「水俣病」だよ。化学工場が川にメチル水銀化合物という毒物を流し、海に流れ着いた毒物を取り込んだ魚やエビ、貝類などを人間が食べて脳みそが縮まっていく病気を発症したんだ。しかもこの原因を特定するのに時間がかかったせいで、多くの人が不必要に苦しんだんだ。
水は色んな場所に存在していて、何かを運んだりしているんだ。それは目に見えない熱エネルギーだったり、毒物だったり、船だったりもする。君が今から飲もうとしている水も、形を変えながら色々な場所や時代を通ってきた水なのかもしれないね。
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参考文献
DK社編 まるごとわかる!海の科学大図鑑