オポポタグ
# 海の謎
回る地球からなぜ海は落ちないの? なぜ海は雲を作ったり、雨を降らせたり、氷の大陸を作るの? 光の届かない深海のようす、月が海を引っ張る力、風の誕生と成長、大気の圧力の差によるヒトの体調の変化など、まだよくわからない謎がたくさんある海。それらはすなわち、地球そのものの生態にまつわる大きな謎でもあり、一滴の水という物質の変化と作用の小さな謎であり、ヒトはどこから来てどこへ行くのかを紐解く、神秘の謎でもあるんだ。
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謎の大きさ
数千年にわたる探求者の努力や、コンピューター登場と計算処理能力の向上によって、次々に謎が解明されているように見える海。だけど、そんな海にまつわる情報に触れて、よく想像できないことも多くないかい? たとえば海の面積は約3億6282万平方キロメートル。海水の全部の量は約13億4993万立方キロメートル。なんて言われても、身近な現実感覚に置き換えるのは難しいよね。
それはつまり、ほとんどの海の謎というのは、ヒトが実感できるサイズを遥かに超えてしまっているということなんだ。ヒトの寿命、身体の大きさ、重さ、動ける速さ、筋肉の強さ、視力、聴力、触覚、嗅覚といった感知能力、それらで実感できるのは砂漠の砂つぶひとつのようにほんの一部で、海の実態は、遥かに大きく存在しているんだよ。
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わからないこと
ヒトにとって永久的な海の謎はというのは、たぶん「海の気持ちがわからない」ということじゃないかな。海を海と呼ぶのはヒトだけだし、海は自らは何も語らない(オポポは語るけど)。でも、だとしても、それを想像することはできるよね。ヒトが海の気持ちを想像した時、果たして海は今、どんな気持ちでいると思う? 心地よさそうだろうか、それとも、悲しみや怒りを覚えているのだろうか。海はその永遠の謎をもってヒトに、ヒト自身の振る舞いを問うているんだよ。
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参考文献
池澤夏樹『母なる自然のおっぱい』
大河内直彦『地球の履歴書』
松岡正剛『フラジャイル 弱さからの出発』