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# 海でつながる世界
今の地球上にはおよそ200の国がある。でもそもそもどうしてヒトは地球上のいろいろなところに分かれて暮らしているんだろう?
本当の真実は誰にもわからないけれど、ヒトの祖先は今からずっとずっと昔の20万~30万年前に、アフリカの南の方に誕生したというのが有力な説となっているね。彼らは自然界の一部として、動物の狩猟や植物の採集を通じて、大地の恵みに生かされていたんだ。
でも長い時の中で、集団が大きくなりすぎたり、激しい自然環境の変化などによって手に入る食糧が不足することが増えてくると、力の強いものがそれを独占し、力の弱いものは、生き残るためには仕方なく別の土地へ出ていかなくてないけなくなった。それが起こったのが、今から約6万年前のことだと言われているよ。
そういった現象が各地で起こり、ヒトはユーラシア大陸に渡り、さらに数万年をかけてヨーロッパやアジアへ、ベーリング海峡をつたって北米と南米大陸へ、東南アジアからはオセアニアや太平洋の島々へと拡散して「世界」をつくっていったんだ。その頃は今よりも海面がずっと低くて、海を渡らずとも歩いて移動することができたのではないかと言われているけれど、それにしてもとても壮大な旅路だよね。
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国が生まれて - 領土領海
世界各地に伝わる伝説や、信仰されてきた宗教によっては、「国」は神様によって創られたことになっているけれど、ここではヒトがつくった方の「国」の話をしよう。みんなも歴史や社会の授業で習ったように「国」はもともと在ったわけではなく、またある日を境にポンっと現れたわけでもなく、ヒトが長い時間をかけて「地球の上に住む位置を決め合ってきた約束ごと」として在るものだね。「国」というのはヒトが考えた約束ごと。みんなで守るべきルールと言ってもいいかもしれない。その位置を示す境界線は目に見える陸地(領土)だけでなく、空(領空)や海(領海)にも敷かれているんだ。
じゃあどうしてそんな「約束ごと」をつくったのかというと、それはヒト同士がより安全に、平和に仲良く暮らしていくためだったんだ。たとえば同じ祖先や土地とのつながりや暮らし方、考え方をもつヒトの集団を「民族」と言うよね。世界にはたくさんの民族があるけれど、「国」という約束ごとは、その中でもとりわけ大きい集団、大きい民族同士で争いやもめごとが起こらないように、お互いを認め合って、仲良く平和に暮らしていこうとするために考えられたものなんだ。
でも残念ながら理想通りにはいかないことも多く、ヒトは今でも国同士、民族同士の争いを続けている。それに地球はヒトだけのものではないから、じゃあ海やそのほかの自然環境、動物や植物たちにとってヒトが作った「国」という約束ごとはどう影響したのか? という問題もあるんだよ。
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侵略の歴史から学ぶこと - 国際問題
みんなは、自分が持っていないものを誰かが持っていた時、それを欲しいなって思うことってないかい? 自分が持っていないものを欲しがったり、すでにたくさん持っているのに独占しようとしてもっと欲しがったり、またものに限らず、いうことを聞かないからといって意地悪をしたり、いじめたことを指摘されても認めずに謝らなかったり…。ヒトとヒトとの間には常に大小さまざまな「欲」の争いというのがあるよね。
争いの種が小さいうちはまだなんとか解決できるかもしれないけれど、それが民族や国という大きさになると解決するのがとても大変になる。「解決に向けた話し合い」の場を設けて歩み寄っている国はまだ良い方で、中には話し合いにすら応じないぞ、という、もうずっと自分達の主張を誇示し続けている国もあるんだ。
受け継いできた民族固有の世界の考え方や、自分達の暮らしの中でのものごとの価値は、その国に住むヒトによってさまざまだから、「これ」というひとつの「ものさし」で争いの筋道や良し悪しを測ることが難しいんだね。そのような問題の場合、解決にはとても時間がかかるからといって他人任せにせず、今を生きている自分のことのひとつとして、問題と向き合っていくことが大切なんだ。
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参考文献
関野吉晴『グレートジャーニー』
図説 世界の七不思議
Think the Earth Project 『百年の愚行』