インタビュー
2024.03.01
オポポフレンズvol.4ー三輪風乃衣さんと街のごみ拾い活動
海や海にまつわるものが大好きなオポポのともだち"オポポフレンズ"へのインタビュー企画。サーフィンが大好き、釣りが大好き、魚が大好き、ただ海を眺めるのが大好き。いろいろな"オポポフレンズ"の好きや楽しいが、みんなの海への入り口になるかも!?今回は積極的にごみ拾い活動を行う三輪風乃衣さんに話を聞きました。
三輪 風乃衣ーみわ かのい
三輪風乃衣さんは、埼玉県出身の中学1年生(2023年度現在)。2021年、2022年に日本財団「海と日本プロジェクト」が主催する「海洋インフォグラフィックコンテスト」に参加し、海の問題について研究したことをまとめました。2023年には同「全国子ども熱源サミット」に参加。友達を誘って立ち上げたごみ拾いサークル「Epic Enviro Buddies(エピック エンバイロ バディーズ)」(略してEEB)のことなど、海洋問題を解決するための活動を発表しました。2024年1月には、札幌にある水族館で「北海道と海の未来展」を企画・制作したりと、幅広く活動しています。
海洋インフォグラフィックコンテストに参加
風乃衣さんが住む埼玉県は、内陸にあって海岸線を持たない“海なし県”。海までは少し距離がありますが、毎年お母さんの実家がある九州の海で遊ぶのが、夏休みの恒例行事だったそう。海に触れる機会が多かったことで、魚や生き物のことがどんどん好きになっていきました。
コンテストに参加することで学んだ「海の問題の重要さ」
そんな中、2021年に海洋インフォグラフィックコンテストを見つけて、参加することに。インフォグラフィックとは、図やイラストなどを使って伝えたい情報をわかりやすくまとめる方法のこと。海洋インフォグラフィックコンテストは、小学生が海についての研究をして、その研究結果を元に美術学生と2人1組になってインフォグラフィック作品を作る大会のことです。
「コンテストに向けて海のいろいろな情報を調べていくなかで、海の問題の重要さを学びました。たとえば、クジラのお腹の中から98kgのごみが発見されたこと。海水浴をする時に塗る日焼け止めが、実はサンゴにとても悪い影響を与えてしまっていることなど。このコンテストへの出場がきっかけとなって、自分にできることがあるなら少しずつでも行動していきたいと思うようになりました。」
友達を誘ってごみ拾いサークル「EEB」を立ち上げる
海にあるごみは、わたしたちが暮らす街から川や水路などをつたって流れ着いてしまったものがほとんど。そのことを知った風乃衣さんは、まずは街にあるごみを拾うことが大切だと考え、ごみ拾いサークルを立ち上げました。
「ずっとごみ拾いをしたいなと思っていましたが、なかなか1人だと踏み出しづらくて。その時、ちょうど海洋インフォグラフィックコンテストに提出した作品を教室で飾ってもらっていて。それを見て少し興味を持ってくれた友達が何人かいました。その子たちに一緒にゴミ拾いしない?と誘ってサークルを立ち上げることになりました。」
驚くほどたくさんのごみが落ちている現実
ごみ拾いサークルは、昔からよく遊んでいた近所の大きな公園で活動することが多いそう。ライター、タバコ、ペットボトル、空き缶のごみなどがたくさん捨てられていると教えてくれました。
「友達とごみ拾いをする時は、どうやったらここにごみを捨てようと思うのかな?と、不思議に思ったことや、学校のことなど、なんでもない話も交えながらワイワイ楽しくやっています。でも、やっときれいになったなぁと思って次に同じ場所に行くと、また同じようにごみがあるんです。どれだけやっても一向に減らないのはすごく大変です。」
ごみ拾いと自然観察の両方を楽しめるイベントを開催
公園には、ごみ袋におさまらないほど大きいバイク用品や、家具などが不法投棄されていることも。このままでは、ごみがどんどん増えていくと危機感を感じた風乃衣さんは、思い切って自分が住んでいる戸田市の市長に手紙を書きました。
戸田市の市長に協力をお願いする
「手紙を受け取ってくださった市長とは、その後一緒にごみ拾いを行いながら、これまでの活動の現状や悩みを共有しました。いろいろな話し合いの中で、海洋問題に興味がない人が、興味を持ってくれるような楽しいイベントを企画したい!と伝えました。そこで、市の取り組みである公園リニューアル計画の社会実験として、ごみ拾いのイベントを企画することに。ナックプランニングの方々にも協力していただき、何度も話し合いを重ねながら準備しました。」
当日は、学校の友達や先生なども含めたくさんの人が参加してくれたそう。まずは地域の自然学習センターへ。ごみ拾いをする時、そこにある植物や生き物も発見して楽しんでもらえたらという思いで、はじめに植物や魚のことについて学ぶ機会を作ったんだとか。
発見ゲームをしながらごみ拾いをするというみんなが楽しめるアイディアが盛り込まれました。自分たちが暮らす街の自然に興味を持って、そこから海洋問題に関心が生まれるきっかけになることを願っていたそう。
「ごみ問題が深刻なことを知っていて、何か行動しようと思っても、1人だと踏み出しにくいこともあると思うんです。でも、まずは小さなことでも少しずつ行動を起こせば、何かにつながる。そして、周りに声をかけてみることも大切だと思います。勇気を出して一歩踏み出してみると、 意外とみんなそれに賛同してくれます。みんなで一緒に活動すると、もっともっと活動の幅が広がってくると思います。」
実際にやってみると楽しいごみ拾いの魅力
風乃衣さんは、ごみ拾いにはもちろん大変なこともあるけど、最終的にはいつも楽しいと思うからこそ、これまで続けられてきたといいます。
「つまらないイメージもあるかもしれませんが、実際にやってみると、とても楽しいです。新しい発見もたくさんあって、宝探しみたいな感じです。中学生になると生活が忙しくなりましたが、自分のルーティーンとして、少しでも続けるっていうことを大事にしています。例えば毎日ごみ拾いをするとか、無理に難しそうなことをするのではなくて、現実的にできる目標を立てたり。あまり重く考えず、自分が楽しみながらできることを大切にして活動をするのがいいと思います。」
風乃衣さんにとっての海
「海のごみは増えているけど、魚は減っているという現状があります。私は海洋生物も、海そのものも大好き。だからこそ生き物が減ってしまうのはすごく悲しいです。これ以上ごみが増えないように、きれいな海にするために、自分にできることをしたいです。」
埼玉県のリバサポキッズの一員としても活動している風乃衣さん。人と人とのつながりがどんどん広がっていき、街をきれいにする輪が広がっています。
写真提供:三輪風乃衣さん