インタビュー
2024.07.23
オポポフレンズvol.10ー海で”遊び”を見つける 花歩さんと芽依さん
海や海にまつわるものが大好きなオポポのともだち"オポポフレンズ"へのインタビュー企画。今回は、姉妹で海が大好きな宮本花歩さんと芽依さんにインタビュー。ほとんど毎日のように海に行って遊んでいたふたりは、ある1枚の絵をきっかけに海ごみの問題について積極的に取り組むように。海での遊びを見出すことが得意なふたりにとっての海や、問題との向き合い方について話を聞ききました。
海は遊びのヒントがあふれる忙しい場所
茨城県日立市に住むふたり。家から歩いて行ける河原子(かわらご)海岸が、小さい頃からの遊び場でした。10年以上同じ海で遊んでいても、海には日々変化があって飽きることがないといいます。
「海は遊びで忙しい場所です。たとえば砂のもように絵を付け足して動物の顔を作ってみたり、まっさらな砂の上に流木で大きな絵を描いてみたり。カニが出てくる穴や、ヒナ鳥を観察することもあります。大きな声で歌うことも!海には遊びのヒントがあふれています。」
ただ海を眺めてぼーっとしたり、散歩することも。建物や電線に隠されることもない、どこまでも広がる大きくて広い海と空のコントラストを楽しんでいます。
あるイラストとの出会いが海の見方を変えた
ある日お母さんが『FRaU SDGs MOOK OCEAN 海に願いを。』という雑誌を、表紙のイラストに惹かれて買ってきました。
表紙には、海の中に住むカラフルな魚や植物と共に人魚が描かれていて、大好きな海が美しくあらわされていました。実はこのイラストは、オポポのイラストを担当した、イラストレーター・画家の山口洋佑さんが描いたもの。
ふたりもすぐこのイラストのとりこになりました。雑誌の中にはどんな海の世界が広がっているのか、ワクワクして開いてみると、そこにあったのは予想とは違う驚きの内容でした。
「何気なく開いたページに、海洋ごみを食べて死んでしまった鳥の写真が何枚も掲載されていました。すごくショックでした。大好きな海で、まさかこんなことが起きているとは知らなかったんです。お母さんはあまりにショックな内容だから読み進めるのを心配していました。でも、私たちは海や海にいる生き物が好きだから、何が起きているかを知りたくてすべてに目を通しました。」
この雑誌は、プラスチックごみや過剰漁獲など、海の問題と解決策についてを特集する内容だったのです。
いつも遊ぶ河原子海岸はきれいに見えるけど、本当にごみはあるの?世界では大きな問題になっているみたいだけど、私たちにも関係のある話なの?雑誌で目にした状況が信じられず、実際に見に行くことにしました。
「海に行って周りをよく観察してみると、毎日のように通っていた海にも、ごみが多くあることに気づいたんです。本当にびっくりでした。それまで海はきれいで楽しくて、ただそこにあるだけで安らげる場所でした。でも、ごみの問題を知る前と後では、海の見え方が大きく変わりました。」
こうして一枚のイラストをきっかけに、思いがけず海の問題を知ったふたり。「このままじゃだめだ。自分たちができることから始めよう」と話し合い、ごみ拾いの活動をスタートすることに。
いつでも遊びを見つけて楽しんで続けることを大切に
最初にごみ拾いをはじめたのは2021年の冬。その年の夏休みには、50日間連続ビーチクリーンを達成しました。雨でも、風が強くても、一日も欠かすことなく浜辺でごみを拾いました。夏休みが終わったあとも、定期的にごみ拾いを続けています。
毎日ごみ拾いをしていると、散歩に来た人やサーフィンをする人から「ありがとう」と声をかけられることも。子どもから大人まで、さまざまな出会いがありました。海が好きな人たち、海を守りたい人たちとの何気ない会話はふたりにとっての大切なコミュニケーションの機会になっていきました。
何よりも大きな原動力になっていたのは、海を楽しみたいという気持ち。ごみ拾いをするときも、遊びを取り入れながら楽しんで続けることを常に意識していたといいます。
いつも一緒に海に行くお母さんはふたりの姿を見てこんなことを話してくれました。「家よりも海にいる時の方が、ふたりの会話がどんどん広がっていきます。海に行くとこんなに話が止まらないのか!と驚くほどです。少し疲れて帰って来た日も『会話をしながら裸足で海を歩くだけで、海が全て吸い取ってくれる』とよく話していますよ。」
河原子海岸には、「シーグラス」もたくさん落ちています。シーグラスとは、海岸や大きな湖畔で見つかるガラスの破片のこと。さまざまな色のガラス瓶が海をただよううちにどんどん丸くなっていき、石のようになっていくのです。
実は小さい頃から、キラキラしていて美しい宝石のようなシーグラスを拾うのが大好きだったふたり。海ごみを拾い始めた頃はその正体がわからないままでしたが、ある日海ごみだと知り驚きました。
「こんなに美しいものが?本当にもともとごみだったの?とびっくり。でもシーグラスは色や形もさまざまで本当にきれいなんです。シーグラスを使って、自分たちでヘアゴムを作ることも。それを見た友だちが、それ何?私も拾いに行きたい!と興味を持ってくれて、一緒に海に行くきっかけができたのも嬉しかったです。」
何よりも海の楽しさを伝えていきたい
ごみ拾い活動をはじめて4年目のふたり。海のために、その活動を多くの人に届けていきたいと考えるようになりました。
「あの雑誌を読んだとき、海が“たすけて”と呼びかけている気がしました。イラストや言葉、写真は、大切なことを伝えるための良い手段になると思います。私たちは、自分たちが見た海を伝えるために、写真や言葉を使った絵本『うみのこえ』を制作することに。展示や発表の活動を通して、海の声を届けるきっかけになれたら思っています。」
これまでに展示を見た人たちは「海がこんなことになっているなんて知らなかった。これから気にかけてみよう」「海のために一生懸命活動している姿に感動した」と、思わず涙を流す人もいたそうです。
「もちろん海が大変な問題を抱えていることも知ってほしいけど、それと同じくらい、海の楽しさも伝えていきたいです。そのために、私たち自身がこんなにも海を楽しんでいるというありのままの姿を発信していくことが大切だと考えています。」
「私たちの海への入り口は、海そのものが作りだす“楽しさ”でした。海は何もすることがなさそうだから、と行かない人たちもいるけれど、5分でも10分でも海を訪れてほしいです。」
「海」という環境を最大限に楽しむふたり。海に落ちているものや、海の景色からさまざまな遊びを想像し、やりたいと思ったことにどんどんチャレンジしていく。海と共に生きるふたりの姿を見ていると、海への冒険心がどんどん高まっていきました。そんなふたりに、海を楽しむためのポイントを教えてもらいました。
花歩さん
「海岸でシーグラスを見つけてみてほしいです。発見すると、本当に宝物をゲットした気持ちになります。シーグラスの石言葉は“出会い”。海でシーグラスを集めると、きっとさまざまな人との出会いもあります。その出会いも自分にとっての大切な経験になっていくと思います。」
芽依さん
「海に足を入れることも、砂の感覚を肌で感じることも、本当に気持ちいい。海を目と耳と肌で楽しんでほしい。またこの感覚を味わいたいなぁとくせになると思います。」