モデル授業案
2024.01.24
『海のてがみのゆうびんや』で考える、自分と海とのつながり
わたしたちは海がないと生きていくことができないにも関わらず、海のさまざまな役割は普段あまり意識する機会がありません。このプログラムでは、『海のてがみのゆうびんや』から海と自分の“つながり”について自ら考える時間を持ちます。
<本プログラムについて>
中学1~3年生 / 総合的な学習の時間 / 計1コマ
【海とのつながりが感じられない現状】
日本財団が2022年に「海と日本人に関する意識調査」として15歳~69歳の男女11,600人に調査を行った結果によると、「海に親しみを感じる」と答えた人は、2022年は37%で、2019年と比べると7ポイント減少となりました。海は食料や医薬品、バイオ燃料などの製品を含め、様々な天然資源を提供しています。また、地球上の生き物が生きていくための水分や気候変動の緩和を行うなど、大切な役割を担っています。そのような海の役割について私たちはどのくらい意識して生活をしているでしょうか。よくよく調べ考えてみると、海があることで、私たちは人やモノとつながることができています。このプログラムでは、『海のてがみのゆうびんや』からその“つながり”について自ら考える時間を持ちます。海に対しての関心や愛着が低下している中、海が担っている役割についてしっかり認識し、自分と海のつながりについて考えることを目的としています。
概要
■学年:中学校1年, 2年, 3年
■関連:総合的な学習の時間
「探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための素質・能力を育成する」に対応するプログラムである。
■目標
<知識及び技能>
人々の生活において海が担っている大切な役目を理解する
<思考力,判断力,表現力>
物語から発想力を得て、自分と海のつながりについて考えることができる
<学びに向かう力,人間性>
地球や人間における海の役割についてさらに調べようとする探究心を育む
■教材について
『海のてがみのゆうびんや』
文:ミシェル・クエヴァス 絵:エリン・E・ステッド 訳:岡野佳 出版社:株式会社化学同人
販売ページ:https://www.kagakudojin.co.jp/book/b605561.html
あらすじ:高台にひとりぼっちで暮らすゆうびんやは、海で迷子になった手紙を配達するのが仕事。ある日、波にゆられてガラスのびんが届きます。中から出てきたあて名のないなぞめいた手紙を配達するため、ゆうびんやはいっしょうけんめい届け先をさがすのですが…。
指導内容
ねらい:『海のてがみのゆうびんや』から、自分の生活と海のつながりについて調べることで明らかにする
【導入】
○あなたは海と「つながっている」と感じますか?なぜ「つながっている」と感じますか?あるいはなぜ「つながっていない」と感じますか?
ー水産物によって、水の循環によって、海に行くことで
ー海に行ったことがないからつながりは感じない
【展開】
○海とつながる人やモノを見てみようー絵本『海のてがみのゆうびんや』を読む
○考えてみよう
・主人公の「ぼく」はどんな人柄だと思う?
ー優しくて、控えめ、人のために頑張る人
・どうして人々は手紙を海に託すのだろう?実際に手紙を流してみたいと思ったことはある?
ー海の波が運んでくれるから
ー実際海に流すことはごみになってしまうけど、どこかロマンチックさを感じる行為でもある
・この物語には「海」や「浜辺」がたくさん出てくるけど「ぼく」と仲間たちにとって海はどのような存在?
ーみんなで集まることができる場所
ー海が色々な人やものとつなげてくれる
・自分にとって「海」や「浜辺」はどのような存在かな?
○この物語では「海」が人々をつなぐ役割をしていた。私たちの生活において、「海」がつないでいるモノや人にはどんなものがある?調べてみよう
ー食料の供給(魚以外でどんな水産資源があるかな?塩なども含まれるね)
ー船などで石油などの天然資源を運んでいる(医療品、バイオ燃料など、どれくらいの運行がされているのか?)
ー水の循環(水循環の仕組みを知った上で、海が水供給における大切な役割を担っている)
ー気候変動の緩和を行う(実は海が熱を吸収している)
ー海を介してつながる世界中の人々(海を介して様々な文化が行き来してきた歴史がある)
【終末】
○「自分と海のつながり」について調べてみて、どんなことを感じたかな?
*海の役割について調べる探究活動へと繋げる