インタビュー
2024.08.09
オポポフレンズvo.11ー釣り好きな十一くんが考える生き物の魅力
海や海にまつわるものが大好きなオポポのともだち"オポポフレンズ"へのインタビュー企画。今回は、釣りが趣味で魚をじっくり観察することが大好きな十一くんにインタビュー。海や川に生息する生き物の形やもようから疑問に思ったことを調べて、多くの学びやワクワクを得ている十一くん。生き物を観察するコツや、人と生き物の関係についての考えを聞ききました。
伊藤十一(いとう じゅういち)
静岡県の清水港の近くに暮らす中学1年生(2024年度現在)。4歳の頃お父さんにはじめて釣りに連れて行ってもらったのをきっかけに、釣り歴約8年。生き物の特徴を見つけるのが大好き。海だけでなく、川や沼でもさまざまな方法で生き物を観察している。海を楽しく学びながら、多くの人に伝えていくオポポ部の部員。
釣りのおもしろさは間近で生き物を観察できること
十一くんは毎週のように清水港へ通う、大の釣り好き!清水港は、日本一深い湾・駿河湾(するがわん)の奥に位置しています。
隣にある三保半島が防波堤のような役割を果たしているので、波は比較的おだやか。小さい魚から大きい魚まで、さまざまな魚がねらえる人気の高い釣りスポットです。
魚の警戒心が低くなっていて釣れやすいのは夜の時間帯。釣れた魚はそのままその日の夕食や次の日の朝食になることもあるそうです。
「釣った魚を食べるのももちろん好きですが、とにかく観察するのが大好き。自分が釣った魚を間近で観察できるおもしろさにハマりました。『この魚は口が長いけど、どんな餌を食べているのかな?』と、見た目から想像して生態を探っています。」
十一くんが釣ったことのある魚の中で、お気に入りの魚はオオモンハタ。スーパーでなかなか見ないオオモンハタは、旅館などで出される高級魚としても知られています。
水玉もようが特徴的なキュートな魚ですが、十一くんは「上から液体を垂らしたようなもようがおもしろい」と、感性たっぷりに表現してくれました。
他にも「ハタと違って、ゴツゴツしていてかっこいい」と紹介してくれたのはカサゴ。頭から背にかけて鋭いトゲがあります。見た目は少しこわ〜い感じですが、実は脂がたっぷりのっていておいしい魚です。十一くんはじっくり観察しているからこそ、どうしてこんなもようなんだろう?どうしてこの魚のヒレは大きいんだろう?など、疑問がわいてくるといいます。
十一くんの観察は釣りの工程にとどまりません。自分でさばいて観察することにもこだわっています。
「幼稚園年長の時から内臓を取ったりする下処理はできるようになりました。胃袋の中を観察すると、魚が何を食べたのかがわかるので、それらを観察するのもおもしろいです。」
海を豊かにする川や沼の生き物たち
「釣り」にはさまざまな種類があります。ねらう魚によって道具を変えたり、場所を変えたり。十一くんは海釣りだけでなく、湖や池、川などの淡水釣りにも行きます。
そこでは、海水でも淡水(塩分をほとんど含まない水のこと)でも生活できる「海水性両側回遊魚」と出会うこともあるのだとか。海水性両側回遊魚とは、海で産卵し、川に上って大きくなり、その後さらに海で成長して産卵する魚のことです。
「たとえば、海と川を行き来するスズキに出会います。スズキは海で生まれて、何十キロも川を上がります。水の種類が違うのに、海にも住めて、川にも住めるって不思議です。」
釣りで出会える生き物は魚だけではありません。川や沼では昆虫や両生類もたくさん見つかります。多くの生き物が作り出す川の栄養分は海へ流れ出て、海藻やプランクトンを育てています。十一くんはあちこちの場所を訪れることで、生き物たちが海を豊かにしていることを実感しています。
魚を観察して不思議に思ったことをメモするノートづくり
十一くんはお気に入りの一冊『小学館の図鑑Z 日本魚類館』で魚の名前や、どのように生活するのかを学んでいます。最近気になっている魚を教えてくれました。
「ハナビラウオという魚は、クラゲにくっついて生きています。クラゲには毒があることも多いのに、共に生きているのがおもしろいですよね。他にも、ヒイラギという魚は色が変化するんです。体の中に発光バクテリアが共生していて、真っ暗の海でうっすら青く光ります。釣り人たちの間では、骨が多いからあまり持って帰らない人が多いそうだけど、食べてもおいしいんですよ。」
どれだけ図鑑を読み込んで知識を得ても、釣った魚や水族館にいる生きた魚を観察していると、気になることがどんどん増えていきます。
「最近は魚の観察を通して疑問に思ったことや、発見したことをノートに書きとめています」と、ノートの一部を見せてくれました。
生き物好きの子どもたちの中には、魚に関する知識をさまざまな方法でまとめている人も多いかもしれません。十一くんのメモには、特に生き物を観察した上ででてくる疑問や、予想が多く書かれているのが特徴です。
十一くんが考える人と生き物の関係
十一くんにとって海や川にいる生き物は、釣りという娯楽やおいしい食べ物というだけでなく、その姿や生態から多くの学びやワクワクを与えてくれる存在です。
「海には人が引き起こした問題もたくさんあるし、もしかしたら生き物たちは人から良いものを得ていないかもしれません。人は生き物への関わりに対して一方的なのかも。でも、自分は生き物たちから多くのものを得ていると感じます。だからこそ、生き物たちへの恩返しとして自分にできることはやりたいです。」
生き物たちがいる海や川を汚さないようにすることが、十一くんにとっての大切な恩返し。そこで環境に配慮した釣りをするためオリジナルのルアー作りをはじめました。
ルアーは釣りで使用する道具の一つで、多くはプラスチック製。釣りの最中に海に流れて海洋ごみになっていることが、大きな問題になっています。そこで十一くんは、お父さんと一緒に木を掘ってルアーを作ることに。海を汚さずにこれからも釣りを楽しみたいと話してくれました。
中学1年生の夏休みには、人生ではじめてのダイビングにチャレンジするという十一くん。海の中で出会う生き物に対しても「なぜ?」「どうして?」をたくさん見つけるかもしれません。その根底には、海の生き物が魅力的だと感じる純粋な想いがあります。