モデル授業案
2024.02.04
『なみのいちにち』で考える、波の仕組みと役割
押しては返す波にはどのような役割があるのでしょうか。絵本『なみのいちにち』で波の音や動きを思い出しながら、波が世界中に運ぶものについて考えます。その中には海洋ごみも含まれています。ごみが波で運ばれていかないようにできることは何か、考えるプログラムです。
<本プログラムについて>
中学1~3年生 / 総合的な学習の時間 / 計1コマ
【海とのつながりが感じられない現状】
どの海にも存在する「波」。この授業の目的は、波の仕組みについて理解し、その波が運んでいる様々なものについて知ることです。まずは波について考えるために、絵本『なみのいちにち』を読みます。波の音や波のようすが、まるでそこにあるかのように手に取って感じられる絵本です。そこから波の仕組みについて学び、押しては返す波が世界中に何を運んでいるのかについて学びます。その中には、海洋ごみも含まれていますが、波が運ぶものの中で、よいものと、よくないものを自ら分類します。よくないものへのアプローチとして、自分たちには何ができるのかについて考えます。
概要
■学年:中学校1年, 2年, 3年
■関連:総合的な学習の時間
「探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための素質・能力を育成する」に対応するプログラムである。
■目標
<知識及び技能>
波の仕組みや役割について理解する
<思考力,判断力,表現力>
五感を刺激する魅力的な波について考え表現する
<学びに向かう力,人間性>
波の見方やその先の役割について継続的に関心を抱く
■教材について
『なみのいちにち』
作:阿部結 出版社:ほるぷ出版
販売ページ:https://www.holp-pub.co.jp/book/b607089.html
あらすじ:「さん ささーん」。波は、気持ちよく眠るウミネコを起こし、漁に向かうお父さんの船を沖へと送り出すと、泣く子をやさしくあやします。鬼ごっこをする子どもたち、散歩中のカップル、海水浴客。昼寝のあとには、思いがけず不思議な出会いもあって……。海辺で暮らす人たちにあたたかく寄り添う波の1日を、詩情豊かに描いた絵本。
指導内容
ねらい:絵本からは波そのものや海辺の生活を想像し、その後に波の仕組みや役割について調べ、理解する
【導入】
○海に行ったとき、海のどこを見る?
海が五感のどこかを刺激することはある?
ー砂浜、海面、波、音が心地いい、潮の匂い、目が癒される
【展開】
○『なみのいちにち』を読む
波そのものや海辺で過ごす時間や海の近くで暮らす人々を想像してみよう
グループで話そう
・この絵本の「わたし」は誰のこと?
・印象的なシーン/一番好きなページは?その理由は?
・作者はどんな気持ちでこの絵本を書いたのだろう?
ー気仙沼出身の作者、海の近くで暮らしていた
○波について考えてみよう
波についての素朴な疑問があれば書き出してみて、波について調べてみよう
Q:海にどうして波があるのか、どうやってできるのか知ってる?
波は大きく分けて2つある
①風浪:海上の風によって起こる。波の頭が鋭く尖っていて横に長くないのが特徴
②うねり:風浪が発生した場所を離れて静かな海域に運んできたもの。または発生域で風が弱まった後に残るもの。波の高さは低く、横に長いのが特徴
Q:風が全く吹かない日にどうして波はなくならないの?
たとえ岸や波打ち際に風で風が全く吹いていなくても、海の上のどこかでは必ず風が吹いているので発生する
→遠いとこで発生した波が岸まで届けられている。台風で発生した波はより遠くに。
○波が運んでくるものにはどんなものがあるだろう?運んでいいものとよくないものを分類してみよう
エネルギー、塩、海洋ごみ、漂着種子
○分類後、海洋ごみの追情報
海中のごみを波が運び、そのうちの一部が砂浜へ、そして別の波がまたごみをさらっていく
これらのうち8割は街から川や風を使って運ばれてきてしまう
【終末】
○運んでよくないものについて、自分たちにできることはあるかな?
メイン画像:Toyama, Amaharashi Beach, METI, CC BY 4.0 International